コタロウアイアンのシャフト、変えたほうがいいのかな…。
アイアンシャフトは、選ぶ順番を決めておけば迷いにくくなります。
結論から言うと、新しい1本を探す前に、いま使っている1本の銘柄とフレックスを調べるところからなんです。
早見表の数字って、サイトごとに違うんですよね。
同じSでも銘柄が変われば、トゥルーテンパー公式の振動数は294と326のように別物です。
| 順番 | 決めること | 見る資料(すべて公式) |
| 前提 | 目安の基準を確かめる | 3社の注記(ドライバーで測った数値) |
|---|---|---|
| ① | いま使う1本の銘柄を調べる | 購入時の製品ページ・仕様一覧表 |
| ② | 重さ | 公表重量・カット前後の重量 |
| ③ | 硬さ(フレックス) | 3社の目安・振動数 |
| ④ | 素材 | 素材別の公表重量 |
| ⑤ | 調子とトルク | フレックス別の調子・番手別のトルク |
| ⑥ | 試打・工房で確かめる | 公式の相談窓口・用具規則の解説 |
出典のない早見表で硬さを決めると、アイアンで測った数値をドライバー基準の目安に当ててしまいかねないんです。
ただ、数字はどれもメーカー公式に載っています。
いまの1本の銘柄が分かれば、重さもトルクも公式の表で読めるんです。
順番どおりに読めば、候補は2〜3本まで減ります。
そして、変えないという答えも順番の中にあることが見えてくるんですよね。
4つの質問から、いま取り組むテーマを1つに。次の練習でやることと、練習メモを作ります。
回答をもとに練習の優先順位を整理するツールです。スイングの原因やスコア改善を保証するものではありません。練習内容はゴルハックの提案例です。
アイアンシャフトの選び方は前提から:3社の目安はドライバーの数値


まずは早見表を自分に当てはめる前に、メーカーの注記で前提を確かめてみてください。
押さえたいのは、前提、目安の出どころ、決める順番の3つです。
目安のヘッドスピードはドライバーで測った数値
ダンロップは、ゼクシオ 14 アイアンの製品ページに目安適応ヘッドスピードの表を載せています。
硬さ(フレックス)ごとにメーカーが想定する速さの範囲のこと。
その表の下にある注記に、目安のヘッドスピードはドライバーで測った数値、という前提が書かれているんです。
| メーカー | 載っている資料 | 注記の原文 |
| ダンロップ | ゼクシオ 14 アイアンの製品ページ(目安適応ヘッドスピード) | 「ヘッドスピードの基準はドライバー使用時の数値」 |
|---|---|---|
| ブリヂストンゴルフ | 2026年カタログの帯グラフ(目盛は5m/s刻み) | 「シャフト別対応ヘッドスピード(m/s、ドライバースイング時)」 |
| オノフ | 2026年カタログのシャフト表(適応ヘッドスピードの列) | 「★適応ヘッドスピード(目安)は、ドライバー使用時の数値」 |
調べた範囲では、ダンロップ・ブリヂストンゴルフ・オノフの3社が、目安の基準はドライバーで測った数値だと明記しています。
つまり、7番アイアンで測った数値を早見表に当てても、メーカーが想定した読み方にはなりません。
ドライバー側の読み方は別記事に。測った数値をドライバーのSとSRのどちらに当てるかは、ヘッドスピード38のドライバーはSRかSかを調べた記事で公表値5モデルを並べているので、よければ見てみてください。
「アイアンで測った数字のほうが実戦的では」と思う方もいるかもしれません。
ただ、目安を作ったメーカーは、ドライバーの数値を基準にしています。
だとすると、同じ番手で測った数値をそろえるのが表の本来の使い方なんです。
目安を出しているのはクラブメーカーの側
では、シャフトを作っている側も同じ目安を出しているのでしょうか。
日本シャフト・フジクラ・三菱ケミカル・トゥルーテンパー・グラファイトデザイン・KBSの公式を、ひととおり当たりました。
見た場所は、製品ページ・仕様一覧表・カタログや振動数データ・フィッティングページ・診断ツールまでです。
| メーカー | 重量 | トルク | 調子 | 振動数 | アイアン用の目安ヘッドスピード |
| 日本シャフト | あり | あり | あり | 見当たらず | 見当たらず |
|---|---|---|---|---|---|
| フジクラ | あり | あり | あり | 見当たらず | 見当たらず |
| 三菱ケミカル | あり(番手別) | あり(番手別) | あり | 見当たらず | 見当たらず |
| トゥルーテンパー | あり(カット前・後) | 見当たらず | あり | あり(番手別) | 見当たらず |
| グラファイトデザイン | あり | あり | あり | 見当たらず | 診断ツールはドライバー用のみ |
| ダンロップ | あり(#6装着) | あり | あり | 見当たらず | あり(製品ページ) |
| ブリヂストンゴルフ | あり(メーカー公表値) | あり | あり | 見当たらず | あり(カタログの帯グラフ) |
| オノフ | あり | あり | あり | 見当たらず | あり(カタログの数値レンジ) |
結果はというと、アイアン用の目安を数値で示したシャフトメーカーは見当たらなかったんです。
グラファイトデザインの「SHAFT FINDER」には、ヘッドスピードの質問があります。
ただ、結果に出るのは「オススメのドライバーシャフト」なんですよね。
KBSは日本語の公式資料が見つからず、表には入れていません。
数字を付けているのは組む側。N.S.PRO 950GH neo(S)に41-48m/sという目安を付けているのはオノフのカタログであって、作っている日本シャフトの仕様一覧表ではないんです。
だから、目安を読むときは、そのシャフトが組まれるクラブメーカーの資料を開いてみてください。
決める順番は6つ:起点はいま使う1本
順番は、いまの1本→重さ→硬さ→素材→調子・トルク→試打の6つ。
なぜこの順なのかというと、公式の数字がそろっている順だからです。
- 重さ=調べた8社すべてが公表
- 硬さの目安=調べた範囲で3社が公表(ドライバー基準)
- トルク=トゥルーテンパーのように公表しないメーカーあり
確かな数字から順に決めていけば、候補は自然と2〜3本に絞れるはずです。
決める順番で道具を選ぶ考え方は、パターの選び方の記事でも長さから始める形で使いました。
目安の帯は重なるので、最後は試打で確かめましょう。
そして、変えないという答えも順番の中に置いておきます。
アイアンシャフトの選び方①:いま使う1本の銘柄を調べる


起点は、いま自分のアイアンに入っているシャフトを知ることです。
調べ方、仕様一覧表の読み方、純正表示の落とし穴の順に進めていきますね。
銘柄とフレックスは購入時の製品ページで分かる
いま入っているシャフトの銘柄は、買ったアイアンの製品ページで分かります。
たとえば、ピン G440 アイアン。
ALTA J CB BLUE・AWT 3.0 LITE・N.S.PRO 950GH neo などの標準シャフトが、一覧で並んでいます。
いまの1本を調べる3ステップ
買ったアイアンの製品ページかカタログで、標準シャフトの銘柄と自分のフレックス(R・SR・Sなど)を確かめるところから始めてみてください。
銘柄が分かれば、作っているメーカーの公式で公表重量・トルク・調子が読めますね。
7番なら7番の数字を控えておくと、あとで候補の銘柄と同じ番手で見比べられるはずです。
ヘッド(アイアン本体)をどう選ぶかは、やさしいアイアンのランキング記事で8本を並べています。
ヘッドの形やロフト角から順番に決めたい人向けには、アイアンの選び方を6つの順番でまとめた記事もあります。
この記事で控えるのは、ヘッドではなくシャフトの銘柄とフレックスだけでOKです。
重さとトルクは仕様一覧表で確かめる
銘柄が分かったら、次はシャフトメーカーの公式で数字を読む番ですね。
日本シャフトの仕様一覧表には、全銘柄の重量・トルク・調子・バランスポイント・シャフト径が1ページにそろっています。
バランスポイント(%)は、シャフトの重心が全長のどこにあるかを割合で示した値。
公表項目はメーカーで違う。フジクラは製品長・重量・トルク・調子、グラファイトデザインは番手ごとのシャフト長さ(mm)、三菱ケミカルは番手別の重量とトルク、トゥルーテンパーはカット前重量とキックポイントまで公式に載っているんですよね。
見る項目は、重量・トルク・調子の3つで十分です。
純正の重さ表示は基準がメーカーで違う
ここで1つ、落とし穴があります。
同じ「重さ」でも、資料によって測り方が違うことです。
- ダンロップ(ゼクシオ 14 アイアン)=「重さは#6の装着重量です」
- ブリヂストンゴルフ(2026年カタログ)=銘柄ごとに注記。Diamana BS50iⅡ は「#7の値」、N.S.PRO MODUS³ TOUR105 DUAL FLOW は「#7のカット前の値」、そのほかは「メーカー公表値」
- シャフトメーカー(仕様一覧表・製品ページ)=単品の重量(カット前)
N.S.PRO MODUS³ TOUR 105(S)の重さを見てみます。
日本シャフト公式・ピン公式・ブリヂストンゴルフのカタログでは106.5g。
ところが、オノフの2026年カタログでは同じ銘柄が98gと載っているんです。
正直、差の理由は各社の資料に書かれていません。
なので、この記事でも決めつけないでおきます。
長さも同じ扱い。日本シャフトの切断前シャフト長は N.S.PRO 950GH の7番で36.5インチ、グラファイトデザインの TOUR AD IRON は7番で940mm。クラブとしての長さは、用具規則の60度法(ソールを60度の面に当てて測る)で測った値なんです。
だから数字は、どの資料の、どの測り方の値かとセットで読んでみてください。
アイアンシャフトの選び方②:重さは公式の数字で読む


順番の②は重さです。
見るのは、メーカーが公表している数字だけ。
重さで読むところは、銘柄名の数字、カット前後の差、番手ごとの並びです。
銘柄名の数字と公表重量は同じではない
この記事で実名を挙げる銘柄は、次の3つの条件で選びました。
- メーカー公式(製品ページ・仕様一覧表・カタログPDF)で数値が確認できる
- 日本語の公式資料がある
- 現行ラインアップに載っている
おすすめ順ではなく、あくまで数字を読む練習台として並べています。
「105」と付いていれば、105gだと思っちゃいますよね(笑)。
でも実は、銘柄名の数字は重量帯の名前なんです。
| 銘柄 | フレックス | 公表重量(g) | トルク(°) |
| N.S.PRO 950GH neo | R/SR/S/X | 94.5/97.0/98.0/104.0 | 1.9/1.8/1.7/1.6 |
|---|---|---|---|
| N.S.PRO MODUS³ TOUR 105 | R/S/X | 103.0/106.5/112.0 | 1.9/1.7/1.6 |
| N.S.PRO MODUS³ TOUR 115 | R/S/X | 117.5/118.5/119.5 | 1.7/1.6/1.5 |
| フジクラ NEW MCI 50 | R/S | 53.0/55.0 | 3.4 |
| フジクラ NEW MCI 100 | R/S | 104.0/106.0 | 1.5 |
| TOUR AD IRON AD-55 | R/S | 57〜58/58〜59 | 3.3〜3.2/3.2〜3.1 |
| TOUR AD IRON AD-85 | R/S | 88/89 | 2.8〜2.4 |
起点は、いま使っている1本の公表重量です。
正直、「何m/sなら何g」という対応は、調べたメーカー公式には見当たりませんでした。
そこで、いまの1本の重さを真ん中に置いてみてください。
重い側と軽い側の候補を、公式の表から1本ずつ拾っていきます。
「振り切れる範囲でなるべく重く」は一般論として。よく言われる考え方ですが、何gまで振り切れるかは人によって違い、公式が数字で示しているものでもないんです。
たとえば、N.S.PRO 950GH neo。
仕様一覧表で、R・SR・S・Xの4フレックスすべての重量とトルクが公表されています。
ただし単品で買う場合、リシャフトの工賃と番手の指定は別に必要。
その点を押さえておけば、数字の読み方の練習台に向いている銘柄です。
カタログの重さと組み込み後の重さは違う
仕様一覧表の重さは、番手の長さに切る前の数字です。
トゥルーテンパーは、カット前重量とカット後重量を番手別の振動数と一緒に公表しています。
| 銘柄 | フレックス | カット前 | カット後 |
| Dynamic Gold 95 | S200 | 95g | 92g |
|---|---|---|---|
| Dynamic Gold 105 | X100 | 105g | 98g |
| Dynamic Gold 105 | S200 | 103g | 96g |
| Dynamic Gold 105 | R300 | 101g | 94g |
| Dynamic Gold 120 | X100 | 120g | 112g |
| SteelFiber i 70cw | 70S | 70g | 65g |
| SteelFiber i 95cw | 95S | 95g | 90g |
| SteelFiber i 110cw | 110S | 110g | 104g |
公式は、このデータに次の注記を添えています。
当データは「参考値」とご理解の上、ご活用ください。なお、データは仮止め状態で測定したため、ソケットや接着剤などの重量は含まれていません。ヘッド形状、その他諸条件によっても多少の誤差が生じることがあります。
つまり、カタログの数字と手元の数字は同じにならないんです。
たとえば、105gの Dynamic Gold 105 X100。
公式の表では、3番の長さ(39.0インチ)に切った状態で98gです。
公式が出しているカット後重量はこの1つで、番手ごとの値は載っていません。
Dynamic Gold 105 は、番手別の振動数とカット後重量まで公表している銘柄です。
一方で、トルクは公表されていません。
クラブメーカーの表でも「ー」のままなんです。
販売店では S300 と表記されることもありますが、公式の表記は S200 で、カット前103gは同じ値。
単品には、テーパーとパラレルの先端規格があります。
いまのヘッドに合うほうを、工房で確かめてから選んでみてください。
番手ごとに重さが変わる銘柄がある
重さを「1本の数字」ではなく、番手の並びで読む銘柄もあります。
トゥルーテンパーの AMT WHITE(S)は、3番で109g、ピッチングウェッジで130g。
番手が短いほど重くなる設計なんです。
三菱ケミカルの MMT AMC RED 65(R)も同じ向きで、3番から7番が57g。
ピッチングウェッジは62.5gになっています。
セットの流れは番手間の差で見る。ドライバーからウェッジまでの重さの流れが気になる人は、まず手持ちのアイアンの番手間で重さがどう並んでいるかを公式の表で追うところから始めてみてください。ウェッジまで含めた並びは、初心者におすすめのウェッジの記事で本数と度数から整理しています。
候補を見比べるときも、同じ番手どうしの数字で並べましょう。
番手ごとの重さまで公表している銘柄は、セット全体の重さの流れを設計に組み込んでいると読めるかもしれません。
アイアンシャフトの選び方③:硬さはSの一文字で決めない


順番の③は硬さです。
Sの一文字ではなく、公式の数字で読んでいきましょう。
硬さは、目安の帯・振動数・表記の違い・用具規則の順に読むと整理しやすいです。
ダンロップとオノフの目安は帯が重なる
3社の目安のうち、数値で読めるのはダンロップとオノフの2社です。
ブリヂストンゴルフは帯グラフで表しています。
目盛は5m/s刻み(BX2HT IRON は35〜50、245MAX IRON は30〜45)。
帯の位置は図版なので、この記事では数値にしていません。
| クラブ(シャフト) | フレックス | 目安(m/s・ドライバーで測った数値) |
| ゼクシオ 14 アイアン(MP1400) | S | 39〜47 |
|---|---|---|
| ゼクシオ 14 アイアン(MP1400) | SR | 36〜44 |
| ゼクシオ 14 アイアン(MP1400) | R | 32〜41 |
| ゼクシオ 14 アイアン(MP1400) | R2(特注生産) | 31〜37 |
| オノフ FORGED IRON KURO(N.S.PRO 950GH neo) | S | 41-48 |
| オノフ FORGED IRON KURO(N.S.PRO MODUS³ TOUR115) | S | 42-50 |
| オノフ IRON LABOSPEC RB-247M(SMOOTH KICK MP-247) | R | 35-42 |
40m/sは、ダンロップのR・SR・Sの3つすべてに入る数字です。
1対1の早見表が成り立たないのは、メーカー自身が帯を重ねて作っているからだと思います。
出典のない早見表の値は載せない。複数のサイトにある「R=○〜○m/s」型の表は出典が示されておらず、メーカー公式の値とも一致しないからなんです。
アマチュアのヘッドスピードの水準や飛距離との関係は、ゴルフ初心者の飛距離の記事で3つの調査を並べています。
帯が重なる以上、Sの一文字は候補を絞る入口にすぎないんですよね。
同じSでも振動数は銘柄で294と326
振動数(cpm=シャフトを固定して先端を振らせたときの1分間の振動回数)は、硬さの実測値です。
一次情報として公表しているのは、調べた範囲ではトゥルーテンパーだけ。
| 銘柄 | フレックス | 7番の振動数(cpm) |
| Dynamic Gold 95 | S200 | 294 |
|---|---|---|
| Dynamic Gold 95 | R300 | 283 |
| Dynamic Gold 105 | X100 | 336 |
| Dynamic Gold 105 | S200 | 320 |
| Dynamic Gold 105 | R300 | 300 |
| SteelFiber i 70cw | 70S | 326 |
| SteelFiber i 70cw | 70R | 311 |
| SteelFiber i 70cw | 70A | 296 |
| SteelFiber i 95cw | 95S | 332 |
同じ「S」でも、SteelFiber i 70cw の70Sは326。
Dynamic Gold 95 のS200は294なので、軽いカーボンのSのほうが高い数字です。
番手が短いほど、数字は上がります。
Dynamic Gold 95 のS200は、3番の268からピッチングウェッジの312まで動くんです。
他社の振動数は載せていません。日本シャフト・フジクラ・三菱ケミカル・グラファイトデザインの公式には振動数の記載が見当たらず、個人ブログなどにある数字は出典が確かめられないためなんです。
つまり「Sで統一」という考え方は、銘柄をまたぐと意味を失ってしまいます。
フレックスの表記はメーカーで3通り
硬さの表記そのものも、メーカーで体系が違います。
大きく分けると、S・SR・Rの段階表記、数字つきのサブフレックス、Sだけの単一設定の3通りです。
- ダンロップ ゼクシオ 14 アイアン=S・SR・R・R2(R2は特注生産)
- トゥルーテンパー Dynamic Gold=X100・S200・R300のサブフレックス
- オノフ LABOSPEC「SHINARI」for IRON=i65・i80ともSのみ
- フジクラ TRAVIL IRON=75〜95はR・S、105・115はS・Xのみ
- ピン ALTA J CB BLUE(アイアン用)=R・SR・S
つまり、「Rを選ぶ」という前提が成り立たない銘柄があります。
表記は3通りある、と覚えておくだけでカタログの読み違いが減るはずです。
用具規則は硬さも重さも決めていない
ここまでメーカーごとに基準が違う背景の一つに、用具規則があります。
日本ゴルフ協会の用具規則(2024年12月1日発効)がシャフトの曲がり・ねじれについて求めるのは、次の2点です。
シャフトの曲がっている部分とネック(あるいはソケット)の軸線に沿ってシャフトが真っ直ぐでなくなる点から測定したときに、シャフトはグリップの上端からソールの上方5インチ(127ミリメートル)以内の一点まで真っ直ぐでなければならない(図14参照)。
シャフトは、その全長に沿ってシャフトのどの1点をとってみても、次のようでなければならない。
(i) シャフトをその縦軸周りでどのように回転させるかに関係なく、たわみが同じとなるように曲がること。
(ii) 両方向とも同量にねじれること。
ほかにあるのは、ヘッドへの取り付け方(セクション2c=ネックは1つ・5インチ以内)と全長(セクション1c)の規定。
つまり、重さ・フレックス・調子・トルクの規定はどこにもありません。
だから4つの数字は、すべてメーカーが自分の基準で決めている値なんです。
アイアンシャフトの選び方④:スチールとカーボンは重さで分けない


順番の④は素材で、重さを決めたあとに選ぶのがポイントです。
素材を決める手がかりは、公式の重量表、振動数、初心者の入り方にあります。
公式の重量表ではスチールとカーボンが重なる
「カーボンは軽く、スチールは重い」と聞いたことがある方も多いかもですね。
ところが、公式の重量表を並べてみると、同じ重さの帯にスチールとカーボンが混ざることが分かります。
| 銘柄 | 素材 | フレックス | 公表重量 |
| N.S.PRO ZELOS6 | スチール | 表記なし | 68.5g |
|---|---|---|---|
| ALTA J CB BLUE(アイアン用) | カーボン | S | 74g |
| N.S.PRO 850GH neo | スチール | S | 88g |
| N.S.PRO 950GH neo | スチール | S | 98.0g |
| フジクラ NEW MCI 100 | カーボン | S | 106.0g |
| SteelFiber i 110cw | カーボン | 110S | 110g |
軽量スチールの N.S.PRO ZELOS6 は68.5gです。
カーボンの ALTA J CB BLUE(S)の74gより、軽い数字になっています。
逆に、NEW MCI 100(106.0g)と SteelFiber i 110cw(110g)はカーボンです。
それでも、N.S.PRO 950GH neo より重い側なんですよね。
だから素材は、重さを決めたあとに候補の中で選ぶのが順番の④です。
軽くしたい人の選択肢も公式の表にある。60g台の軽量スチール(N.S.PRO ZELOS6)や50g台のカーボン(ALTA J CB BLUE のR=54g)が、公式の表にちゃんと載っているんです。
カーボンが柔らかいとは公式の数字では言えない
「カーボンは柔らかい」という説明も、公式の振動数とは合わないんです。
先ほどの表では、カーボンの SteelFiber i 70cw(70S)が326。
スチールの Dynamic Gold 95(S200)は294でした。
つまり素材だけでは硬さは決まらない、と公式の数字が示しています。
「軟鉄鍛造にはスチール」も通説どまり。そう説明されることが多い組み合わせですが、公式の裏づけは取れませんでした。オノフ IRON LABOSPEC RB-247M のように、標準シャフトが52gのカーボン(SMOOTH KICK MP-247・R)というアイアンもカタログにあるんです。ヘッドの素材や構造の話は、やさしいアイアンのランキング記事で扱っています。
素材で迷う方ほど、先に重さと硬さの数字をそろえたほうが早く決まるはずです。
初心者はスチールかカーボンか:素材より順番
初心者向けの答えも、発信者によって逆なんですよね。
「男性の初心者はスチール」と書く記事もあれば、「初心者はカーボン」と書く記事もあります。
でも、この記事で見たダンロップ・ブリヂストンゴルフ・オノフの公式の表には、「初心者用」という素材の区分はありません。
- いまの1本の銘柄とフレックスを控える
- 重さ=公表重量を起点に重い側・軽い側へ
- 硬さ=目安の帯と振動数で読む
- 素材=残った候補の中で選ぶ
素材から入らず、候補を絞ってから素材を選ぶのが、初心者のアイアンシャフトの選び方です。
仕様一覧表に4フレックスの数字がそろう、N.S.PRO 950GH neo のような銘柄があります。
迷った方は、こうした銘柄で表の読み方を練習してみてください。
アイアンシャフトの選び方⑤:調子とトルクは最後に決める


順番の⑤は調子とトルクです。
最後に回す理由も、公式の数字にあります。
調子とトルクで見るのは、フレックスとの連動、トルクの読み方、用途の違いです。
フレックスを変えると調子と重さも動く
調子(キックポイント=シャフトがしなる位置の表記で、元・中元・中・中先・先がある)は、各社の分類にすぎません。
ピン公式の ALTA J CB BLUE(アイアン用)は、フレックスを変えると重さもトルクも調子も一緒に動く銘柄です。
| シャフト | フレックス | 重量・トルク | キックポイント |
| ALTA J CB BLUE | R | 54g・4.8度 | 先 |
|---|---|---|---|
| ALTA J CB BLUE | SR | 64g・4.5度 | 中先 |
| ALTA J CB BLUE | S | 74g・3.2度 | 中 |
| AWT 3.0 LITE | R | 84g・3.1度 | 先 |
| AWT 3.0 LITE | S | 95g・2.9度 | 中 |
「硬さだけ変える」つもりでRからSにすると、重さは20g増え、調子は先から中へ移ってしまいます。
弾道への影響(上がりやすい・つかまりやすい等)は、メーカーがそう説明している範囲の話です。
この記事では、そこは断定しません。
だから調子は、重さと硬さを決めたあとに確かめる項目として最後に回しましょう。
トルクは番手で変わり公表しないメーカーもある
トルク(°)はシャフトのねじれにくさを表す数値で、小さいほどねじれにくいと各社が説明しています。
ただし、1本のシャフトに1つの数字ではないんです。
- 番手で変わる=三菱ケミカル MMT AMC RED 65(R)は3番の4.1°からピッチングウェッジの3.2°へ
- フレックスで変わる=N.S.PRO 950GH neo はRの1.9°からXの1.6°へ
- 公表しないメーカーがある=トゥルーテンパー(ピン公式・ブリヂストンゴルフのカタログとも Dynamic Gold の欄は「ー」)
「トルク◯度以下がよい」という境界は、公式に見当たりませんでした。
なので、この記事では書かないでおきましょう。
目安や一覧が欲しいときは、公式値をそのまま並べた上の重量表と調子の表で足ります。
数字が小さいほど良い、ではない。軽い銘柄ほどトルクは大きく(NEW MCI 50 は3.4、NEW MCI 100 は1.5)、重さと一緒に動く値なんです。トルク単独で優劣を付けず、重さ・硬さとセットで読んでみてください。
同じ銘柄名でもウッド用とアイアン用は別物
ALTA J CB BLUE には、ドライバー用とアイアン用があります。
ピン公式のフィッター記事にあるドライバー用は、R 49g/SR 53g/S 58g・トルク5.3/5.2/5.0。
用途をまず確かめる。スペックを書き写す前に、それがウッド用かアイアン用かを見出しや品番で確かめてみてください。
アイアン用は、先ほどの表のとおり。
Sどうしで比べると、重さは58gと74g、トルクは5.0と3.2という差があるんです。
名前が同じだからと数字を写すと、別物の数字をそのまま候補に持ち込むミスが起きてしまいます。
アイアンシャフトの選び方⑥:変えるかどうかは試打で確かめる


順番の⑥は、候補を試打か工房で確かめて、変えるかどうかを決めることです。
候補が絞れたら、残るのは試打の持ち込み方、工房への依頼、規則の解説、変えない答えです。
試打では重さと硬さの候補を2〜3本に絞って持ち込む
「試打を受けよう」で終わらせずに、何を持って行くかを先に決めておきましょう。
持ち込むのは、①〜⑤で作ったいまの1本の数字と候補2〜3本です。
| メーカー | 公式が案内している相談・試打の窓口 |
| フジクラ | 「フジクラゴルフ相談室」=150種類以上の試打クラブを常備し、弾道計測器の解析とプロフィッターの診断を実施 |
|---|---|
| グラファイトデザイン | フィッティングベース=問診→解析→試打→データ解析→合うモデルの出力。試打クラブに7番アイアンを含む |
| トゥルーテンパー | 組立てやシャフト交換はゴルフ工房・専門店やクラブメーカーへ依頼を、と案内 |
| ピン | カスタムフィッティングにより個々に調整、と製品ページに明記 |
見てもらうのは、重さと硬さの2つで十分です。
「月1ラウンドの自分にフィッティングは大げさでは」と感じる方もいると思います。
ただ、公式の窓口はちゃんと用意されているんです。
試打だけなら、候補を減らす手間で済みます。
試打で見るのは2つだけ。同じ番手の候補を続けて打ち、重さと硬さの違いだけを見比べてみてください。
リシャフトはゴルフ工房か専門店に依頼する
リシャフト(シャフトだけを交換すること)は、自分でやらずに工房へ出しましょう。
クラブの組立てやシャフト交換はゴルフ工房・専門店やクラブメーカーに依頼されることをお薦めします。
フジクラは「フレンドリーショップ」を、ピンは「カスタムフィッティング」を公式の窓口として案内しています。
工房が見るのは、ティップ径(先端の太さ=テーパーの.355とパラレルの.370)がヘッド側と合うかどうか。
費用はシャフトと工賃で変わるので、工房の見積もりで確かめてみてください。
見積もりの見方は、シャフト交換費用を3つに分けて足す記事にまとめました。
スパインの向き合わせは用具規則の解説を知っておく
工房で「スパイン合わせ」という言葉を聞くことがあるかもしれません。
スパイン(背柱)は、シャフトの長さに沿ってあるわずかに硬い筋のこと。
用具規則の解説を見ると、この扱いは次のとおりです。
多くのグラファイトシャフトにはシャフトの長さに沿って小さな「背柱(スパイン)」があり、取り付けるときの方向によってシャフトに若干の異なった曲がりを生じさせることがあります。この小さな背柱(スパイン)の存在は、一般に通常の製造過程の結果とみなされ、従って、セクション2bの違反とはなりません。
しかしながら、クラブの性能に影響を与えること(例えば、むらのあるショットを正すため)を目的に向きを合わせられたシャフトはこの規定の意図に反するでしょう。
つまり、スパインの存在そのものは違反にならないという整理なんですね。
工房に頼むな、とは言いません。
ただ、依頼するときに知っておく解説として知っておくと、話が早いです。
変えないという答えも用意しておく
順番の最後に置くのは、「変えない」という答えです。
たとえば、いまの1本の重さとフレックスが公式の目安の帯に入っている場合。
それなら、急いで変える理由は数字からは出てこないんです。
正直、変えれば良くなるとも、変えなくても大丈夫とも、この記事では断定できません。
道具か腕かの切り分けは別記事で。スコアが伸びない理由をシャフトに求める前に、練習の回数や使い方を見直す判断は、ゴルフレッスンに通うべきかの記事で月2回の練習の使い方から整理しています。
数字で説明できないうちは、変えない、を答えとして持っておくのも、順番の一部なんですよね。
アイアンシャフトの選び方でよくある質問


アイアンのシャフト選びで検索されることの多い疑問に、公式の数字の範囲で答えていきますね。
軽いシャフトに変えるとどうなりますか?
「何gにすると何が変わる」という記載は、調べたメーカー公式には見当たりませんでした。重さはカット後の重量と番手の並びで読み、効果は断定しない、というのが答えなんです(カタログの重さと組み込み後の重さ)。
柔らかいシャフトのデメリットは何ですか?
「柔らかい」は銘柄をまたぐと逆転し、同じ銘柄の中でもSとRの差は7番でおよそ10〜20cpmなんです。症状を決めつけず、振動数の実測値で読むのがおすすめです(同じSでも振動数は銘柄で違う)。
ヘッドスピードは7番アイアンで測った数値でいいですか?
調べた範囲で3社の目安は、いずれもドライバーで測った数値が基準なんです。アイアンで測った数値をそのまま当てないのが前提ですね(ドライバーで測った数値が基準)。
アイアンのシャフトは何グラムが適正ですか?
「何m/sなら何g」という対応は、調べたメーカー公式に見当たらないんですよね。いまの1本の公表重量を起点に、重い側と軽い側の候補を拾っていきましょう(銘柄名の数字と公表重量)。
初心者はスチールとカーボンのどちらを選べばいいですか?
発信者によって答えが逆で、公式の表に素材の区分はないんです。重さ→硬さの順で候補を絞ってから、その中で素材を選ぶのが答えです(初心者は素材より順番)。
純正シャフトのままで問題ありませんか?
純正の重さ表示は基準がメーカーで違うので、まずはどの測り方の値かを確かめてみてください。いまの1本が目安の帯に入っているなら、急いで変える理由は数字からは出てこないんです(変えないという答え)。
自分のアイアンに入っているシャフトはどう調べますか?
購入時の製品ページで銘柄とフレックスを見るのが入口です。次にシャフトメーカーの仕様一覧表で重さ・トルク・調子を読んでいけばOKです(銘柄は製品ページで分かる)。
ゼクシオ 14 アイアンやピン G440 アイアンなど機種ごとの純正シャフトはどれを選べばいいですか?
機種やレディースモデルごとに、選べるシャフトも目安も別なんです。その機種の製品ページかカタログで、標準シャフトの一覧を確かめるところから始めてみてください(製品ページの見方)。
リシャフトは自分でできますか?費用はいくらですか?
トゥルーテンパー公式は、シャフト交換を工房・専門店・クラブメーカーに依頼するようすすめています。費用はシャフトと工賃で変わるので、工房の見積もりで確かめてみてください(リシャフトは工房へ)。
シャフトを変えると飛距離は伸びますか?
伸びる、とはこの記事では断定しないでおきますね。飛距離の調査と目安はゴルフ初心者の飛距離の記事にまとめていて、この記事は変えるかどうかの判断までを扱っています(変えないという答え)。
中古のシャフトでも問題ありませんか?
用具規則がシャフトに主に求めているのは、直線性と、たわみ・ねじれの対称性なんです。すり減りの規定はシャフトにはなく、組み付けは工房で確かめるのがおすすめです(用具規則が決めていること)。
まとめ:アイアンシャフトの選び方はいまの1本から始めよう


要点を振り返ると、出発点はやっぱりいま使っているシャフトです。
アイアンのシャフトは新しい1本を探す前に、いま使っている1本の銘柄とフレックスを調べ、公式の数字を順番で読む、が結論。
目安のヘッドスピードは、調べた範囲で3社ともドライバーで測った数値が基準。
しかも、帯は重なるからです。
シャフトを変えるかどうかは、今夜いまの1本の製品ページを開くだけで、一歩進められます。
数字がそろえば、売り場で勧められた1本も自分の数字と見比べて判断できるはずです。



まずは自分のシャフトの銘柄を調べてみよう。
変えないと決まったら、その時間は100切りの練習に回せますよね。
月1ラウンドで100切りを組み立てる順番は、月1ゴルフのサラリーマンでも100切りは狙える記事に書いています。

